キッチンカーの縁の下
はじめての開業

キッチンカー副業のリアル:年8%回収、12年後の資産価値ゼロという現実

「副業でキッチンカーを始めたら、子どもの教育資金や老後資金の足しになるかもしれない」

そう考えてキッチンカー開業の検討を始める方は少なくありません。実際、副業ブームの今、キッチンカーは「カフェみたいでおしゃれ」「車1台で始められる」「初期投資が低い」というイメージから、副業の選択肢として人気が高まっています。

しかし、私が業界20年、サニーズクレープ本部としてFC33店舗を運営してきて断言します。

経済的な豊かさを求めて副業でキッチンカーを始めると、ほぼ100%の確率で這い上がれません。

これは脅しではなく、ROI(投下資本収益率)という経営の基本指標で計算すれば誰でもわかる「数字の現実」です。本記事では、私自身のフードトラック事業の実例と、副業キッチンカーで失敗する典型パターンを、具体的な数字で徹底解説します。

まず結論:副業キッチンカーは「年8%回収・12年で資産価値ゼロ」

時間がない方のためにこの記事の核心を先にお伝えします。

副業でキッチンカーを始めた場合、典型的な数字はこうなります。

  • 初期投資:150万円(中古軽バンタイプの場合)
  • 月の利益:約1万円(週末5日稼働、月売上10万円の場合)
  • 年間利益:12万円
  • ROI(年間):8%
  • 投資回収期間:12年
  • 12年後のキッチンカーの資産価値:ほぼゼロ

つまり、少ない休みを返上して12年間働き続けて、ようやく投資回収。その時点でキッチンカー本体には資産価値がほとんど残っていないという結末が待っています。

なぜこんなことになるのか。そして、それでもキッチンカーをやりたい人はどう考えるべきか。順を追って解説します。

ROI(投下資本収益率)とは何か

経営の世界で最も大事な指標の1つが、ROI(Return On Investment / 投下資本収益率)です。

計算式は非常にシンプル。

ROI = 利益 ÷ 投資額 × 100

これは「投資した金額に対して、どれだけの利益が出たか」を示す数字です。経営者・個人事業主が、事業の良し悪しを判断するときに必ず使う基本指標といっていいでしょう。

例えば、ROI が100%なら、投資した金額が1年で全額回収できているということ。50%なら2年で回収、25%なら4年で回収という計算になります。

固定の飲食店の業界では、以前はこのROIで「5年で投資を回収する」のが目安でした。しかしコロナ以降、流行り廃りのサイクルが早く経済状況も読めないため、近年は2〜3年での早期回収を目指すのが主流です。

副業でキッチンカーを始めるなら、このROIの考え方を必ず押さえておく必要があります。「儲かる」「楽しい」「副業に最適」といったイメージだけで始めると、数字の現実に直面したときに撤退できなくなります。

私のフードトラック事業の実例:1年で投資回収、その後も利益を出し続けるROI 100%超えの事業

私は2019年、6年前に250万円を投資してフードトラックを作りました。これは「フードトラック ザ・シーズン」というアメリカン料理を提供する事業で、サニーズクレープとは別のブランドです(2026年春に終了予定)。

開業1年目の数字はこうでした。

  • 投資額:250万円(フードトラック制作費)
  • 稼働日数:年間60日(週末イベント中心、月平均5日)
  • 年間売上:500万円(1日平均約8万円)
  • 営業利益率:49.5%
  • 年間営業利益:約250万円

この数字をROIの計算式に当てはめると:

ROI = 250万円 ÷ 250万円 × 100 = 100%

つまり、1年で投資した資本を全額回収しました。フードトラックの制作費を1年で取り戻したことになります。

2年目以降も同じペースで出店を続け、売上は毎年10%程度上昇、営業利益率は50%を維持したため、年間250万〜300万円の利益を出し続けています。コロナ禍の2020年だけは売上が3分の1の150万円まで落ち込みましたが、すでに投資回収していたため致命傷にはなりませんでした。

ここまでの数字を聞いて「キッチンカーって本当に儲かるじゃないか」と思った方、ちょっと待ってください。この数字は経営者として20年やってきて、ノウハウ・人脈・出店場所・販促力・スピード・リピーターをすべて持った状態での実績です。

これから副業で始める方が、同じ数字を出せるかというと、まったく違います。

副業キッチンカーで失敗する典型パターン:年8%回収という現実

ここからが本題です。経営の経験がない会社員が「キッチンカーは儲かりそう」という思いつきで副業を始めた場合、どんな結末を迎えるか。私が業界で見てきた典型パターンをお伝えします。

初期投資150万円で「中古の軽バン」スタート

副業なので「あまりお金をかけずにスタートしたい」という発想で、中古の軽バンタイプを選ぶ方が多いです。それでも、保健所の許可を取れる程度のキッチンカーにするには:

  • 中古車両費:約60万円
  • キッチン部分の架装:約60万円
  • 厨房設備・調理器具:約20万円
  • 雑費(消耗品、看板、開業準備):約10万円
  • 合計:約150万円

事業経験がないと、消耗品や厨房器具を安く手に入れる知識がないため、買ったけど使わないものに無駄なお金がかかります。最終的に150万円前後は普通にかかります。

売上は「1日2万円×月5日=月10万円」が現実

「副業で稼げるのは平均してこれくらい」と私が見ている数字です。なぜ1日2万円しか売れないか。理由はシンプル。

  • キッチンカーの経験がないので、提供スピードが遅い
  • 販促メニュー・POPをうまく作れない
  • 出店したばかりで、お客様にとって「初めて見る車」で信頼がない
  • イベントや出店場所を紹介してくれる業界仲間がいない
  • そもそも出店できる場所が確保できない
  • 他のキッチンカーより魅力的な商品ではない

これらの「ないない尽くし」で、1日2万円が現実的なラインになります。これは大手メディアやコンサルタントが書く「月収100万円、年収1000万円も可能」という記事とはかけ離れた現実です。

月10万円の売上で利益は「月1万円」

月の売上10万円から、どれだけ利益が残るでしょうか。実際の経費を計算してみます。

  • 原価:50%(5万円)
    • 副業だと専門の卸業者が使えない、スーパー仕入れで原価が上がる
    • 週末しか営業しないので売れ残りロスが発生する
    • 商品ごとの原価計算では3割でも、棚卸計算すると50%超えがよくある
  • 出店料:2万円(1日4,000円×5日、消費税込み)
  • 車両費・ガソリン・駐車場:1万円
  • 消耗品・水道光熱費・保険:1万円
  • 合計経費:9万円
  • 月の利益:1万円

冗談ではなく、これがリアルな数字です。週末の貴重な5日間を使って、月1万円の利益。

ROIを計算すると「年8%回収」

月1万円の利益を年間で計算すると12万円。これをROIの計算式に当てはめます。

ROI = 12万円 ÷ 150万円 × 100 = 8%

1年で8%しか投資回収できないということです。元を取るのにかかる期間は12年です。

ここからが残酷な事実なのですが、12年後にキッチンカーの資産価値はほぼゼロです。中古市場で売れたとしても、解体費用とトントンか、場合によってはマイナスになります。

つまり、12年間少ない休みを返上して、月1万円の利益を積み上げ、ようやく初期投資を回収。回収した瞬間にキッチンカー本体は無価値。これが副業キッチンカーで「経済的豊かさ」を求めた人が辿る道です。

子どもの教育資金にも、老後資金にも、まったく届きません。

なぜ大手メディアはこの現実を書かないのか

「キッチンカーは儲かる」「平均年収700万〜800万円」「副業に最適」といった記事が業界メディアに溢れています。この数字、実は年収1,000万円超の上位プレイヤーが平均を引き上げているだけで、実態とはかなり乖離しています。

そして大手キッチンカー製作会社のメディアは、構造上この現実を書けません。なぜなら、彼らのビジネスモデルはキッチンカーを売ることで成り立っているからです。「副業ではキッチンカーは厳しいですよ」と書いてしまったら、自社の売上が落ちます。

私はサニーズクレープFC本部として、加盟者の方々と長くお付き合いしてきましたし、自身のフードトラック事業も10年やってきました。だからこそ、副業で始めようとする方には正直に「やめておいたほうがいい場合がある」とお伝えできるのです。

副業キッチンカーで「成功する人」の条件

ここまで厳しい現実を書きましたが、私は副業に反対しているわけではありません。私自身、事業の多角化に取り組んでいて、それも広い意味では副業と言えます。収入源を分散させること自体は、リスクヘッジとして正しい考え方です。

副業でキッチンカーをやって成功する(または満足する)のは、次のようなケースです。

① 利益度外視で、楽しみ・やりがいを最優先する人

「週末に好きな料理をお客さんに提供したい」「人と話すのが楽しい」「定年後の生きがいにしたい」という動機なら、月1万円の利益でも満足できます。これは趣味としてのキッチンカーで、れっきとした成功パターンです。

② キッチンカーを本業に切り替える覚悟がある人

副業から始めて手応えを掴み、本業に切り替えるステップとして使う場合は意味があります。ただし、本業切り替えの覚悟がない「副業のまま続けたい人」は、利益という意味では報われません。

③ 既存の販路・顧客基盤を持っている人

固定店舗を持っている飲食店オーナーが新しい販路としてキッチンカーを導入する、自社商品のPRとしてキッチンカーを使うなど、すでにある資産にキッチンカーを足す形なら成立します。ゼロから始めるのとはわけが違います。

逆に「経済的に豊かになりたい」という目的だけで副業キッチンカーを選ぶと、ほぼ確実に這い上がれません。

それでも副業で何かやりたい方へ

「老後資金や教育費の足しになる副業がしたい」のであれば、キッチンカー以外の選択肢を真剣に検討してください。

私が個人的に副業として現実的だと思うのは:

  • ネット事業:在庫を持たない、初期投資ほぼゼロ、固定費もかからない
  • コンテンツ・スキル販売:自分の知識を売る形なら投資ゼロ
  • 不動産投資:本業と並行しやすい、長期で資産になる

これらの方が、ROIで考えても圧倒的に効率が良いケースが多いです。

それでも「どうしてもキッチンカーがやりたい」「好きな料理で人を喜ばせたい」という方は、副業ではなく本業として腹を括って取り組むことをおすすめします。実際、キッチンカーで成功している方は、ほぼ全員が本業として取り組み、365日24時間頭の中はキッチンカーのことで埋まっているようなプロフェッショナルです。

週に一度バッティングセンターに行く程度の覚悟では、メジャーリーガーの球は打てません。プロには勝てないのです。

キッチンカーを本業として取り組むなら:初期投資の考え方

もしキッチンカーを本業として取り組むと決めた方に、最後にROIの観点から開業のポイントをお伝えします。

独立開業する際は、「ROI何%を想定して初期投資をかけるか」を必ず計算してください。

投資額を抑えれば、回収期間が短くなり、利益が早く手元に残ります。残った利益を次の投資に回せば、事業はどんどん成長します。これが経済的豊かさへ向かうたった一つの正しい道です。

具体的には、初期投資を抑える方法として:

  • 中古キッチンカーの活用(個人売買の中古車両は新車の3〜5割の価格)
  • 必要最小限の設備でスタート(後から追加できるものは後回し)
  • DIY可能な部分は自分でやる(外装塗装、看板など)
  • 既存の出店ネットワークを使えるFC加盟(自分で出店場所を開拓する時間を削減)

この記事の最後に、キッチンカーを本業として真剣に取り組みたい方に2つの選択肢をご紹介します。

キッチンカーを安く手に入れるなら:縁結び

初期投資を抑える最も効果的な方法は、中古キッチンカーの個人売買です。引退するキッチンカーオーナーから直接買い受ければ、新車の半額以下で十分使える車両が手に入ります。

私が運営するキッチンカー縁結びは、キッチンカーを売りたい人と買いたい人をつなぐ個人売買仲介サイトです。業者を介さないため、売り手も買い手も適正な価格で取引できます。

FC加盟という選択肢:サニーズクレープ

「ゼロから自分でブランドを立ち上げるのは不安」「すでに実績のあるビジネスモデルを使いたい」という方には、フランチャイズ加盟も選択肢の1つです。

サニーズクレープでは、フランチャイズ本部としての20年のノウハウ、出店場所の紹介、運営サポートを提供しているので、自分1人でゼロから始めるより圧倒的に短期間で軌道に乗せられます。

まとめ:「気軽に楽しく副業」では稼げない、それがキッチンカーの現実

最後にもう一度繰り返します。

副業でキッチンカーを利益目的で始めると、ROI 8%、12年で資産価値ゼロというのが典型的な結末です。

子どもの教育費にも老後資金にも届きません。気軽に楽しく副業で稼げるような甘い世界ではないのです。これは、これまでキッチンカーを辞めていった数多くの方々が、すでに証明してくれている事実です。

しかし、キッチンカーという仕事自体は、お客様の笑顔が直接見られる素晴らしい仕事です。本気で取り組めば、本業として十分に成立する事業です。

「楽しみ・やりがい目的」なら大歓迎。「経済的豊かさ目的」なら本業として腹を括る。これがキッチンカー業界20年の私からのお伝えしたい本音です。

これからキッチンカーを始めるか迷っている方の相談を、キッチンカーの縁の下では日々受けています。私自身がFC33店舗を運営してきた立場から、あなたの状況に合わせた現実的なアドバイスができます。気軽にLINEでお声がけください


この記事の元動画はこちら

【YouTube】副業でキッチンカーをやったら一生這い上がれない | サニーズクレープ

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