風呂なしアパートで、3分100円のコインシャワー。22歳の私がキッチンカー独立資金を貯めた話
こんにちは。サニーズクレープ代表の滝澤です。
私はキッチンカー業界で20年、フードトラック事業で10年、これまでにたくさんの方の開業相談・開業支援をやってきました。
メールや電話、LINEで相談を受けるなかで、その「ほとんど」がお金の話だと感じています。
たとえば――
- 自分でお店をやりたいんですが、今お金がないんです
- キッチンカーで独立したいんですが、いくらかかりますか?
- 自己資金が全然ないんですが、開業できますか?
いやー、この相談、本当によく分かるんです。
なんといっても、若い頃の私自身がまったく同じ状況でしたから。
そこで今回は、「夢を叶えるために、私はこうやってお金を貯めた」という話をしようと思います。
「お金がなくて開業ができない」という方に、少しでも参考になれば嬉しいです。
「自己資金ゼロで融資を受けて開業します」と言う人へ
まず、開業相談の入口で私が必ず聞くことがあります。
「開業資金はいくらくらいを考えていますか? そのうち自己資金はいくらありますか?」
すると、「100万円」「250万円」など、いろいろな答えが返ってきます。
ただ、なかには「自己資金は全くありません」と答える方もいるんですね。
私が「自己資金がないと開業できませんよね? どうするんですか?」と聞くと、こう返ってきます。
「お金を借りて開業します。融資を受けます」
ここで、はっきりお伝えしておきたいことがあります。
自己資金がゼロの場合、そもそも融資は受けられません。
これは現実的なルールです。日本政策金融公庫でも民間金融機関でも、自己資金ゼロでまとまった事業資金を借りるのは、基本的に不可能です。
そしてもう一つ、私の考えとしてお伝えしたいことがあります。
これから独立開業される方が融資を受けて開業することを、私はあまりお勧めしていません。
その理由は次でお話しします。
「良い借金」と「悪い借金」の話
借金には、よく「良い借金」と「悪い借金」があると言われます。
悪い借金の例で言えば、サラ金やリボ払いです。借りれば借りるほど金利がついて、返済が苦しくなって、最終的に自己破産――そんなドツボに陥るやつです。
一方で、良い借金というのは、安い金利でお金を借りて、それを投資して、高いリターンを得るための借金です。
借りた金利以上のリターンを出し続けることができれば、お金は増え続けていきます。基本的に、企業の事業活動はこの考え方で動いています。
これを聞くと、「じゃあ融資を受けてキッチンカーを開業するのは、良い借金に当たるからいいじゃない?」と思うかもしれません。
でも、ここに大事なポイントがあります。
自己資金が全然ないような状態の人は、お金を少しずつでも貯めていける体質になっていない。だから事業を始めても、絶対にうまくいきません。
これは、20年この業界を見てきた私が、断言できることです。
そしてもう一つ。自己資金がない=お金以外の準備もできていない、というケースがほとんどなんです。
事業計画、商品設計、出店戦略、リスク管理――どれも整っていない。「とりあえず始めれば何とかなる」という気持ちで融資を受けて開業すると、ほぼ確実に苦しい状況に陥ります。
じゃあ、自己資金がなければ夢をあきらめないといけないのか?
ここまで読んで、こう思った方もいるかもしれません。
「じゃあ、自己資金がない自分は、いつまでも開業できないのか? 夢をあきらめるしかないのか?」
それは違います。
ここからは、私自身が20代でゼロから独立資金を作った話をします。前置きが長くなってしまいましたが、これが今回の本題です。
22歳、貯金ほぼゼロからのスタート
20代前半、私は飲食店で働いていました。
働きながら、「いつか自分の店を持ちたい」と強く思うようになりました。それも、できるだけ早く。
でも――貯金はほぼゼロでした。
飲食店の給料って、本当に安いんですよね。当時の自分の手取りでは、家賃と食費で消えていく毎日。
「このままここで働いていたら、いつまで経っても夢は叶えられないな」
そう気づいた瞬間に、私はお金を本気で貯めようと決意しました。
まずやったのは「出ていくお金を減らす」こと
最初に決めたのは、「出ていくお金を減らす」ことでした。
当時、出ていくお金といっても、家賃と食費と、たまに飲みに行くお金くらい。それでも、もっと削れるはずだと考えました。
そこでまず、引っ越しました。
引っ越し先は、新宿のボロボロのアパート――というか、風呂なし、共同トイレ、共同玄関の下宿みたいなところです。
家賃は月35,000円でした。
20代前半の若い男一人なら、これで十分。お風呂は近所のコインシャワー、トイレは共用、玄関も共用。それでも「夢のために」と思えば、何の不便もありませんでした。
1日18時間、ダブルワークの生活
仕事も変えました。
昼は高田馬場でお弁当の配達を始めました。20年前の話です。時給は1,000円でした。
朝7時から16時半まで働きます。
その後、原チャリで15分ほど移動して、新井薬師駅前にある居酒屋「養老乃瀧」で夜の仕事を始めました。こちらも時給は1,000円くらいだったと思います。
夜は17時から深夜1時頃まで。これも休みなしで働きました。
合わせると、1日18時間労働。
しかも、休みはほぼありません。週7日、ずっとこのリズムで生活しました。
食費はゼロ。風呂は3分100円
この生活、実は生活費が驚くほどかからないんです。
- 昼の仕事では、配達で余ったお弁当を食べられた
- 夜の居酒屋では、まかないが出た
食費はかかりません。
そして、住んでいたアパートにはお風呂がないので、仕事が終わった後は近くのコインシャワーへ。
3分100円のシャワーで、頭と体を洗う。
最初は時間が足りなくて焦りましたが、続けていると慣れてくるもので、3分間で頭と体を洗う方法を、すっかり身につけました(笑)。
今もあるんですかね、コインシャワーって。
ウイスキーをラッパ飲みして寝る毎日
朝からずっと働いているので、家に帰ってきても、気が張っていてなかなか寝つけないんですよね。毎日。
私はビールが好きなんですが、ビールは高いから我慢して、ウイスキーをラッパ飲みして、少し酔っ払ったところで寝ていました。
睡眠時間は、ずっと4時間くらいだったと思います。
それでも前向きでいられた理由
その時期、私はいつも眠かったし、疲れも抜けませんでした。
それでも、気持ちはずっと前向きだったんです。
なぜか――。
周りに、同じような仲間がいたからです。
特に夜働いていた居酒屋には、面白い仲間がたくさんいました。
日中は別の仕事をしている人、韓国人や中国人の留学生たち。彼らは昼間は大学に行って、夜は居酒屋で働いて、朝は4時から新聞配達をしている――そんな人もいました。
自分以上に働いていたんです。
中国人の彼は、毎日2時間しか寝ていなかった。
そんな彼の前では、泣き言なんて言ってられません。
みんな、夢のために生きていました。
月収40万円、貯金30万円
数字で振り返ると、こうなります。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 昼の仕事の収入 | 約20万円 |
| 夜の仕事の収入 | 約20万円 |
| 合計収入 | 月40万円 |
| 家賃 | 35,000円 |
| 食費 | 0円 |
| コインシャワー代 | 1日100円 |
| 貯金できる額 | 月30万円 |
月に30万円の貯金。
これを続けることで、お店の独立資金を作りました。最終的には一部、融資も受けましたが、自分で貯めた自己資金が土台にありました。
あの生活が、今の自分の根っこを作った
正直に言うと、今でもあの生活には戻りたくありません(笑)。
でも、あの経験はとても良い経験でした。
あの数年間を通して、今も自分の根底につながる、ある考え方を身につけることができたんです。
それは――。
「お金なんて、なんとかなるな」
ということです。
出費を抑えて、仕事を選ばずに必死で働けば、お金は簡単に貯まる。いや、簡単じゃなかったですけど、別に大したことじゃありませんでした。今思えば。
やりたい夢のためなら、頑張れる。
むしろ、その一歩一歩進んでいる感じが、最高に充実していました。
若いうちに「限界を超える経験」を一度してみる
若い方には特に、一度自分の限界を超えるくらいまで働いてみる経験はしてみるといいんじゃないかな、と思います。
それに、「お金なんてなんとかなる」という価値観を手に入れたことで、その後の人生がぐっと楽になりました。
「失敗しても大丈夫だ」
「たかがお金じゃないか」
「働けばなんとかなる」
そう思えるようになると、挑戦できるようになるんです。
これは、後の人生で何度も自分を支えてくれる感覚でした。
開業相談で、私が「貯金から始めましょう」と伝える理由
そんな経験があるので、開業相談で「貯金、自己資金が全然ないんですけど」という方には、私はこうお答えしています。
「まずはバイトでもなんでもいいので、貯金しましょう。
貯金しながら、たぶん時間はかかりますけど、その間に移動販売のことを情報収集して、準備ができたらまた連絡してください」
実際に今、サニーズクレープのオーナーのなかにも、最初にメールで問い合わせがあってから、5年くらい貯金を続けて、ようやく資金が溜まりましたと連絡をくれた方がいます。
そのオーナーは、今もしっかり続けています。
自分で苦労して貯めたお金は、使い方が違う
これは、20年見てきて確信していることです。
自分で苦労して貯めたお金は、使い方がまったく違うんです。
大切に使います。
思いが詰まっていますから。
融資を受けてスタートするのと、お金の重みが違うんです。その人にとって。
だから、今お金がなくても、まずは出費を極限まで削って、貯金してから始めましょう、と私は伝えています。
融資が絶対にダメ、という話ではありません。
でも、順番が大事なんです。
お金を貯める過程で、人は経営を学ぶ
そしてもう一つ、お伝えしたいことがあります。
お金を本気で貯めていく過程で、人は気づくことがあります。
「出費を削って、収入を増やす」
たったこれだけのこと。
でも、これがそのまま経営なんです。
事業も同じです。
- 無駄な経費を削る
- 売上を上げる工夫をする
- 利益を残す
会社経営でやっていることは、結局これと同じなんですね。
だから、自分で貯金できる体質を作った人は、独立開業してもうまくいきます。
バケツの穴を、まず塞ぐ
開業準備でも、経営でも、まず大事なのは「出ていくお金を少なくする」ことです。
バケツに穴が空いていたら、いくら水を注いだって、水は貯まりません。
まずはバケツの穴を塞ぐ。
そうすれば、自然に水=お金は溜まっていきます。
これが、経営の最も大事な考え方の一つです。
開業前から、この感覚を身につけておけば、開業後の苦しい時期も乗り越えられます。
逆に、この感覚がないまま融資で開業すると、「気づいたらお金が消えていた」という状態になりやすい。
順番が、本当に大事なんです。
まとめ:今お金がなくても、夢はあきらめなくていい
今回お伝えしたかったのは、お金の貯め方という、とても基本的なことです。
- 自己資金ゼロで融資を受けて開業するのは、お勧めしない
- でも、自己資金がないからといって、夢をあきらめる必要もない
- 出費を削って、本気で貯めようと思えば、お金は貯まる
- 自分で貯めたお金には、思いが詰まる
- お金を貯める過程そのものが、経営の練習になる
20代の私は、風呂なしアパートで3分100円のコインシャワーを浴びながら、1日18時間働いて、月30万円ずつ貯金しました。
苦しかったかと言われれば、苦しかったです。
でも、夢に向かって一歩ずつ進んでいる実感があったので、不思議と前向きでいられました。
そして、その経験で身につけた「お金なんてなんとかなる」という感覚は、今でも私を支えてくれています。
もしあなたが今、「お金がないから開業できない」と悩んでいるなら――。
まずはバケツの穴を塞ぐところから、始めてみてください。
時間はかかるかもしれません。
でも、その時間こそが、独立後の自分を支える土台になります。
それでは、また。
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文:キッチンカーの縁の下/滝澤 仁(株式会社セレーノ代表取締役、サニーズクレープ本部)
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