雨の日に休むキッチンカーは繁盛しない――業界19年の経営者が語る雨天営業のすべて
6年前、私はサニーズクレープのYouTubeチャンネルで「キッチンカーで繁盛店になるには、雨が降っても休まない
当時、視聴者の反応はさまざまでした。「そんな根性論はもう古い」と言う人もいれば、「
あれから6年。キッチンカー業界は大きく変わりました。
- コロナ禍を経て、キッチンカーの台数は爆発的に増えた
- SNS(Instagram、X)による情報発信が、集客の主力になった
- キャッシュレス決済が当たり前になり、雨の日でも会計がスムーズに
- 天気予報の精度が上がり、仕込み量の予測がしやすくなった
でも、根本的な部分は何一つ変わっていません。
むしろ、キッチンカーが6年前より増えた今だからこそ、雨の日の対応で他店との差が明確に出ます
雨の日に営業を続けるオーナーと、すぐ休むオーナー。
雨の日に一言声をかけられるオーナーと、無言で接客するオーナー。
雨の日に「来てくださってありがとうございます」を伝えられるオーナーと、伝えられないオーナー。
この差が、3年後の客数を決めます。
この記事では、私が業界20年の現場で見てきた雨天営業のリアルを、本音で書きます。
具体的な装備の話から、お客様への気遣い、本当に休むべき判断基準、そして経営者としての姿勢
これは特に、開業1~3年目で「梅雨に入ると休むか営業するかで迷う」あなたに向けた記事です。
この記事を読む前に ―― 「休まない」が当てはまる人、当てはまらない人
この記事のタイトルを見て、「雨でも休むなと押し付けてくる記事だな」と感じた方もいるかもしれません。
そうではありません。最初に、はっきりさせておきます。
キッチンカーは自由な働き方です。だからこそ、雨の日に出店するかどうかも、自由に決めていいんです。
私が「雨の日に休んではいけない」と言うのは、ある特定の条件に当てはまる場合だけです。
「休んではいけない」場合
- 出店先(スーパー、商業施設、パチンコ店など)と事前に出店を約束している場合
- 主催者・施設側に「出店します」と伝えている場合
- お客様が「あの日はあのキッチンカーが来る」と期待している場合
- イベント主催者と契約・約束を交わしている場合
これらは「約束を守る話」です。雨だから休む、というのは、約束を破ることになります。
「休んでも全然OK」な場合
- 自分の敷地、自分の駐車場での出店
- 「いつでも出店していい」と言われている自由な出店場所
- 行政の管理地で、自由に使える区画
- 副業として、自分のペースで気が向いた日だけ出店している場合
- 「雨は楽しくないから出店しない」と最初から割り切っている場合
こういう場合は、雨の日は出店しないという判断で全然問題ありません。
オーニングもテントも防水対策も、すべて不要です。雨でも出店しなきゃと気が落ち込む必要も、まったくありません。
キッチンカーは自由なので、雨は出店しないという判断も自由です。
この記事は誰に向けたものか
この記事は、「出店先と約束を交わして、信頼関係を築きながらキッチンカーで生計を立てていきたい」あなた
つまり、雨の日でも出店すべき条件下にあるオーナーに向けた記事です。
「雨の日は休む」と決めている方は、この記事をそっと閉じて、自分のペースで楽しんでください
ただ、「出店先との信頼で稼いでいきたい」「お客様にファンになってもらいたい
雨対策の装備 ―― 必須・推奨・見落としがちなもの
まず、実務の話から入ります。
雨天営業を続けるには、装備が9割です。装備が整っていれば、雨は怖くありません。装備が足りないと、雨の日に頑張ろうとしても、お客様にも自分にも負担がかかります。
必須装備:オーニング・テント
オーニング(車両に取り付ける屋根)とテントは、雨天営業の絶対条件です。
特に販売口が狭い軽バンタイプのキッチンカーは、オーニングがないと、お客様を雨に立たせたまま接客することになります。これは致命的です。
トラックタイプのキッチンカーは、車体自体の開口部が広く、車体自体がある程度の雨よけになります。それでも、お客様が並ぶスペースを覆うテントは必要です。
オーニングは、購入時のオプションで付ける場合が多いですが、もし無いキッチンカーで雨天営業をする予定があるなら、後付けでも必ず付けてください
必須装備:電源コード関連
電源を使うキッチンカーには、防水対策が欠かせません。
ただし、注意点があります。「防水電源コードリール」は確かに存在しますが、ドラム(コードリール)は基本的にコードを全部伸ばして使うもの
なので実務的には、普通の延長コードを使うほうが便利です。その代わり、コネクタ部分には
見落としがちな装備:設置場所の選択
これは「装備」ではなく「判断」ですが、雨対策で最も重要な部分です。
キッチンカーは、いったん設置すると、基本的に場所を変えられません。設置時点で「もし雨が降ったら」を想定して場所を選ぶ
実際にあるケース:
- 出店開始時は晴れていた
- 途中から雨が降ってきた
- 気がついたら、車両の足元が水たまりになっていた
- でも、もう動かせない
これは出店経験のあるオーナーなら、必ず一度は経験しています。
対策:
- 屋根付きの場所を最優先で確保する(特に固定出店の場合)
- 水はけの良い場所を選ぶ(コンクリートよりアスファルト、傾斜のある場所)
- 排水溝の位置を確認する
- 風向きを意識し、雨が吹き込まない向きで設置する
固定出店の場合、主催者や施設管理者と事前に相談して、屋根付きスペースを優先的に確保できる関係を作っておくと、雨の日も強いです。
お客様向けの気遣い装備
雨の日は、お客様も大変です。荷物が増え、傘で片手がふさがり、足元が悪い。
そういうお客様への気遣い装備:
- 傘立て:小さいものでもいい、入口に置いておく
- 荷物を置けるスペース:小さなテーブルや棚があると喜ばれる
- タオル:濡れた手を拭いてもらう
- 滑りにくいマット:足元に敷くと安心感がある
これらは数百円~数千円で揃います。コストに対して、お客様の満足度の上がり方が大きい装備です。
雨の日の「待ち時間対策」(固定出店の場合)
固定出店で駐車場が近い場合は、こんな対応も検討してください。
- お客様の携帯番号を聞いて、できあがったら呼ぶ
- 呼び出しベル(レストランで使われるあれ)を使う
- 「車でお待ちいただいて、できたらお持ちします」と提案する
特に時間がかかる商品(クレープ、できたて系)では、雨の中ずっと待たせるより、車で待ってもらう方が、お客様の満足度は圧倒的に高い
「そこまでやるの?」と思うかもしれませんが、この一手間でリピーターになってくれます
雨の日のメニュー戦略と商品包装
装備の次は、メニューと商品の話です。
雨の日に売れるメニューの傾向
「雨の日に特別に売れるメニュー」というのは、正直あまりありません。
ただし、雨の日は気温が下がりやすいので、傾向としてはこうなります:
- 温かいメニューが出やすくなる
→ ホットコーヒー、温かいスープ、温かい食事系 - 冷たいメニューは落ちる
→ かき氷、アイス、冷たいドリンク - 持ち帰りしにくい商品は、販売数がガクッと落ちる
→ ソフトクリーム、できたてアツアツ系で、車まで持って行きにくいもの
これらを踏まえて、雨の日は温かいメニューを増やす、冷たいメニューを減らすといった柔軟な対応ができると、売上の落ち込みを最小限に抑えられます。
商品の包装:雨の日こそ気を配る
商品の包装は、販売するものによりますが、ビニール袋は必須です。
紙袋だけでは、お客様が車まで運ぶ間に濡れて破れます。ビニール袋に入れた上で紙袋に入れる、もしくは
「たかが袋」と思うかもしれませんが、雨の日に商品が濡れて破れた経験は、お客様の記憶に強く残ります
イベント中止リスクへの対応
雨天でイベント自体が中止になる可能性がある場合、仕込みのタイミングが難しくなります。
私の経験則:
- 朝一の天気で中止判断になる可能性があるイベントでは、仕込みはギリギリまで待つ
- 前日に判断が出るイベントでは、主催者からの連絡を確認してから仕込み量を決める
- 当日朝の判断でも対応できるよう、翌日にも使えるメニュー設計にしておく
特に最後の点は重要です。「雨で中止になっても、翌日の別出店で使える材料・商品にしておく」
SNSとLINEを活用した雨の日戦略
ここからは、6年前にはなかった、今だからこそできる戦略です。
雨で売上が落ちることが予想される日には:
- InstagramやLINEで事前告知
「明日は雨予報ですが、営業します。お待ちしています」 - 割引・トッピングサービスのアナウンス
「雨の中来てくださった方にはトッピング1つサービス」 - 次回サービス券の配布
「今日来てくださった方に、晴れの日に使える割引券をお渡しします」
これらの仕掛けで、雨の日の売上を多少なりとも上げられるだけでなく、お客様に「雨でも応援したい」という気持ちを起こさせる
ただし、割引は乱発しないこと。雨の日が「いつも割引の日」になると、晴れの日に来てくれるお客様に失礼です。あくまで
雨の日の接客で一番大切なこと
装備、メニュー、SNS――いろいろ書いてきましたが、雨の日に一番大切なのは「ひと言」です。
「足元の悪い中、ありがとうございます」
「雨の中わざわざ来てくださって嬉しいです」
「お気をつけてお帰りください」
このひと言があるかないかで、お客様の印象は決定的に変わります。
雨の日に来てくれたお客様は、晴れの日に来てくれるお客様より、強い思いで足を運んでくれています
その思いに、こちらもひと言で応える。たったそれだけで、お客様は深いファンになってくれます
雨より怖いもの ―― 風・台風・本当に休むべき時
ここまで「雨の日に休まない」という話をしてきました。ですが、自然条件には「絶対に休むべき時」があります
それを判断できるオーナーが、結局は長く続きます。「無理して出て事故を起こす」のは、休むより遥かに信頼を失います
ここでは、私が20年見てきた「本当に休むべき判断基準」をお伝えします。
雨より風が怖い
6月の梅雨時期、雨は降り続きますが、強風になることは比較的少ないです。だから、6月で雨だけを理由に休んでいると、営業日が激減します。
ところが、台風シーズン(8~10月)や春先(3~4月)になると、話が変わります。
雨より、風が圧倒的に怖いです。
特に危険なのは、看板の飛来です。
私自身、看板を飛ばしたことは一度もありません。でも、ほぼすべてのキッチンカー仲間が、一度は看板を飛ばして壊しています
もし飛んだ看板が子供に当たったら、どうなるでしょうか。
もしお客様の車に傷をつけたら、どうなるでしょうか。
これは一瞬で20年の信頼が消える事故です。
看板・テントの固定で「絶対に飛ばない」を実現する方法
風対策で多くのオーナーが勘違いしているのが、「オモリを乗せれば大丈夫」という考え方です。
結論から言います。オモリは役に立ちません。
強風が吹くと、オモリを乗せた看板は一瞬で飛んでいきます。私は何度もそういう現場を見てきました。
正解は、物理的に飛んでいきようがない固定です。
- ロープや結束バンドで、地面のアンカーや車両に直接固定する
- テントはペグを地面に打ち込んで、四方向すべて固定する
- のぼり旗は、強風予報の日は最初から立てない
- 看板は、車両に紐で結びつけておく
「飛んでいくかもしれない」ではなく、「物理的に飛ばない構造」にする。これが鉄則です。
テントは特に飛びやすい
テントは、その構造上、風を受ける面積が大きいので、看板以上に飛びやすいです。
風予報の日にテントを使う場合は:
- 四方向すべてペグで固定する
- ペグが打てない場所(コンクリート上など)では、重量物を四隅すべてに紐で結びつける
- 強風時は、早めにテントをたたむ判断をする
- そもそも、強風予報の日はテントを使わない選択も視野に入れる
「テントが飛んで、隣の車に傷をつけた」というトラブル、毎年どこかで起きています。
本当に休むべき気象条件
私が「これは休むべき」と判断する基準を整理します。
1. 強風警報・暴風警報が出ている
警報レベルの風が出ている時は、営業を続けるリスクがメリットを超えます。看板飛来、テント倒壊、車体の揺れ、お客様の安全
2. 台風接近時
進路予想で台風が直撃するエリアの場合、前日のうちに出店判断を出すことが多いです。当日朝に「やっぱり休みます」では、お客様にも主催者にも迷惑です。
3. 大雪
これも危険判断です。車両の運転自体が危険、お客様も外出を控える、設営も困難――すべての面で営業のメリットがありません。
4. 雷雨
雷は本当に危険です。屋外で金属を扱う仕事なので、雷注意報・警報が出ている時は、迷わず休む
5. 6月の食中毒リスク
これは「気象」ではないですが、忘れてはいけない要素です。
6月は梅雨で湿度が一気に上がります。湿度が高い=食中毒のリスクも一気に上がります。
- 食材の保管温度管理を、いつも以上に徹底する
- 仕込み量を控えめにして、廃棄リスクを下げる
- 「ちょっとでも不安な食材は使わない」判断を即座にする
雨対策の装備を整える前に、食中毒対策の意識を高めることが、6月のキッチンカー営業の鉄則です。
休むときは「しっかり告知」する
これが最も大事なポイントです。
休むこと自体は問題ありません。問題は、お客様が来店して、お店がなかった時です。
「あのクレープが食べたい」と思って、わざわざ車を走らせて来てくれたお客様。その方が、閉まったキッチンカーの跡地を見た時の落胆。
この記憶は、一生消えません。そして、そのお客様は二度と来てくれません
だから、休むと決めたら:
- 前日のうちにInstagram、LINEで告知する
- 固定出店なら、店内のスタッフにも伝える
- 「明日は強風予報のため、営業を見合わせます」と理由も伝える
- 次の出店日も併せて告知する
告知さえしっかりしていれば、休んでも信頼は失いません。むしろ「安全のために休む判断ができるオーナーだ」と評価されることもあります。
営業時間も必ず守る
これも一緒に伝えておきます。
営業時間を守らないキッチンカーは、雨で休むキッチンカーと同じくらい信頼を失います。
- 開店時間に車両がない
- 早上がりしている
- 「今日は早く閉めます」と直前に告知する
これらは全部、お客様の期待を裏切る行為です。雨対策の話と本質は同じで、「約束を守ること」
出店先・主催者とのコミュニケーション
雨予報や悪天候時、出店先や主催者とどうコミュニケーションを取るか――これも、長く続けるオーナーと続かないオーナーで、大きく差が出るポイントです。
連絡のタイミング:はっきり危険と判断できる場合は前日
「この天候は危険、休まざるを得ない」と明確に判断できる場合は、前日に連絡
「この天候は危険、休まざるを得ない」と明確に判断できる場合は、前日に連絡
連絡が遅くなればなるほど、出店先・主催者の負担が増えます。代替の出店者を探す時間、お客様への告知時間、運営計画の修正時間
前日にはっきり伝えることが、相手への礼儀です。
電話が基本
連絡手段は、LINEやメールではなく、電話が基本です。
特に重要な判断を伝える時に、文字だけのやり取りは冷たい印象を与えます。直接声で伝えることで、お互いの状況・気持ちが理解できます。
ただし、深夜や早朝は避け、相手の業務時間内に連絡します。
「雨でも出ます」と言ったら、よほどのことがない限り出店する
事前の打ち合わせや確認のやり取りで、「雨でも出ます」と伝えた場合は、よほどのことがない限り、出店してください
「雨でも出る」と言って当日になって「やっぱり休みます」では、信頼は一気に崩れます。
逆に、最初から雨を理由に休む可能性がある場合は、こう伝えます:
「基本的には出店する予定ですが、天候次第で判断させていただきます」
この一言があるだけで、主催者・出店先も雨予報の日には「もしかしたら欠席か」と心の準備ができます。
イベント主催者からキャンセル連絡が来た時の対応
天候を理由に主催者からイベント中止の連絡が来ることもあります。
この時、出店者として大事なのは、「主催者の労力と心情を理解すること」です。
主催者は、出店者以上の労力を払っています:
- イベント自体の準備
- 会場、設備、人員の調整
- 広告、集客
- 他の出店者全員への連絡
そして、「楽しみにしてくれているお客様に申し訳ない」「出店者の皆さんに申し訳ない」という気持ちを抱えています。
そんな主催者に「せっかく仕込んだのに」「売上の補償は?」と詰め寄っても、何も生まれません。
正しい対応:
- 「承りました。次回もぜひ参加させてください」とサクッと承る
- 「次回開催の際は協力します、出店します」と伝える
- 主催者を責めない、慰める言葉をかける
これだけで、次のイベントに優先的に呼んでもらえる関係ができます。
主催者と長い関係を築けるオーナーは、「キャンセル時の対応」で他のオーナーと差がつきます。
仕込みの廃棄リスク
「せっかく仕込んだのに、中止で全部廃棄」――これは確かに痛いです。
ですが、このリスクを下げる工夫を最初からしておくのが、プロのキッチンカーオーナーです:
- 冷凍保存できる食材を選ぶ(肉、ソーセージ、ベーカリー系)
- 翌日の別出店で使えるメニュー構成にする
- 長期保存できるトッピングを組み合わせる
- 仕込みのタイミングを出店判断の後にする
完全には防げませんが、これらの工夫で廃棄ロスを大幅に減らせます。
経営者としてのマインド ―― 雨の日に問われるあなたの本質
ここからが、この記事の最も伝えたい部分です。
装備の話、メニューの話、コミュニケーションの話――すべて大事ですが、根本にあるのは経営者としての姿勢
これは、技術論ではなく精神論です。でも、業界20年やってきて、この精神論こそが結局すべてを決めると確信
キッチンカーは自由な働き方、だからこそ責任が伴う
キッチンカーは、本当に自由な働き方です。
- 出店場所を自分で選べる
- 営業日を自分で決められる
- メニューを自分で決められる
- 価格を自分で決められる
- 休みたい時に休める
サラリーマンには絶対にない自由がここにあります。この自由こそが、キッチンカーをやる人の最大の魅力
でも、自由には必ず責任が伴います。
働きたければ働けばいい。休みたければ休めばいい。それは確かに自由です。
ですが、事前に決めておいた出店には、必ず出店する。これは絶対です。約束した時点で、その日はもう「自由」ではありません。
雨が降った時、人として当たり前の感情
雨が降った時、人として当たり前の感情があります。
- 濡れたくない
- 行きたくない
- 暇だろうから休みたい
- 売上落ちるなら割に合わない
すべて、当たり前の感情です。人間として自然な反応です。
私だって、雨の日の朝、車を出すのは気が重いです。「今日は休みたいな」と思う日もあります。
でも、その「人として当たり前の感情」に従って休んでしまったら、信頼は一気に失われます。
上司がいないから、誰も叱ってくれない
サラリーマン時代と、キッチンカーの個人事業主との一番の違いは、「叱ってくれる人がいない」
サラリーマンなら、雨を理由にサボれば上司に叱られます。同僚の目もあります。
キッチンカーは、誰もいません。
休んでも誰も怒らない。サボっても誰も気づかない。「今日は雨だから」と自分に言い訳しても、誰も突っ込んでこない。
だからこそ、自分で自分を律しない限り、人は簡単に堕ちます。
「今日は雨だから」「今日は寒いから」「今日は気分が乗らないから」――こうやって休む日が積み重なって、気がついたら
そして、お客様は離れます。
信頼は一度失うと、戻ってこない
信頼を失った話で、よく「取り返すのに時間がかかる」と言われます。
私の20年の経験から言うと、そんなものじゃありません。
一度失った信頼は、もう二度と戻ってこない。
そう思っていたほうがいい。
「あのキッチンカー、行ってもいない時があるよね」――この一言が、他のお客様にも伝わります。
SNSの時代になって、これがより加速しました。「あの店、当てにならない」という評価は、コミュニティ内で一瞬で広がります
逆に、「あの店は雨でも台風でもない限り、必ず営業している」という評価も、同じように広がります。
どちらの評価がつくキッチンカーになりたいか。それはあなた次第です。
雨だから売れない、と思うのは、売る気がないから
私が一番伝えたいのは、これです。
「雨だから売れない」と思うのは、売る気がないからです。
実際にやってみると、雨でも意外と売れる日があります。
私自身、雨予報の日に「今日は暇だろうな」と思って現場に行ったら、意外にバタバタ忙しかった
雨の中、わざわざ来てくれるお客様が確かにいるんです。
「行っても売れないだろう」と最初から決めつけて休んでいると、この体験は一生味わえません。
強雨の日でも「いなきゃいけない時」がある
もちろん、本当に強い雨の日や条件の悪い日は、お客様がほとんど来ないこともあります。
でも、「いなきゃいけない時」があります。それは、約束した日です。
お客様が一人も来なくても、約束した時間、その場所にいる。
その時にはキッチンカーの中で:
- 事務作業をする
- メニュー開発を考える
- 次の出店計画を立てる
- SNS投稿の下書きをする
- 顧客リストを整理する
何かできることをやる。次につながることをやる。
それが今後の売上に必ず影響します。
「雨で誰も来ないから帰ろう」と早上がりしたキッチンカーと、「最後まで居続けて、何か少しでも前進させた
休む基準は、ただ一つ ―― 「危険」
私が休む基準は、ただ一つだけです。
「危険」かどうか。
- 強風で看板が飛ぶ危険
- 雷で感電する危険
- 台風で車両が損傷する危険
- 大雪で運転が危険
- 食中毒で大規模な健康被害を出す危険
こういう「危険」がある時だけ、休みます。
それ以外は、出店します。雨だけでは、休む理由になりません。
信頼を失うケースは、業界に溢れている
最後に、リアルな話をします。
SNSで業界を見ていると、雨ですぐ休むキッチンカー、行ったけどいないパターンを本当によく見かけます。
驚くほど多いです。
「明日は雨予報なので休みます」
「今日は気分が乗らないので早く閉めます」
「家庭の都合で営業しません」
そういう投稿が、毎日のように業界のタイムラインに流れます。
でも、お客様も同業者も、実は見ています。
「あの人、最近よく休むよね」
「あのキッチンカー、雨だとすぐ休むよ」
こういう評価は、雨の時の対応で決定的に分かれます。
雨の日にファンを作るのは、ちょっとした声かけと、ちょっとした気配り
逆に、雨の日に新しいファンを作る方法もあります。
それは、ちょっとした声かけと、ちょっとした気配りです。
- 「足元の悪い中、ありがとうございます」
- 「雨の中、わざわざ来てくださって嬉しいです」
- 「お気をつけてお帰りください」
そして、もう一歩進めて、お客様の状況に合わせた柔軟な対応を考えます。
これは私自身が経験した話です。
ある雨の日、お客様から注文を受けて、商品をお作りしていました。クレープは1枚1枚焼くので、時間がかかります。しかも、その日は
お客様にはキッチンカーの軒下でお待ちいただいていたのですが、雨が強くなってきて、軒先からポタポタと水滴が落ちて、お客様の肩を濡らしている
このまま数分間お待たせするのは、明らかにお客様の負担になります。
そこで私は、「お車でお待ちいただけませんか? できあがったらこちらからお持ちします」とお声がけしました。お客様は「いいんですか
数分後、できあがった商品を、雨の中、私自身が車までお届けしました。
お客様はとても喜んでくださって、それから月に何度も来てくださる常連さんになりました。
たった一回の気配りで、何年も通ってくださるファンができたんです。
これが、私が雨の日に営業を続ける理由です。
雨の日には、晴れの日にはできない特別な接客があります。晴れの日と同じ営業をしていたら、いつまでもファンは増えません
雨の日チェックリスト ―― 出店前に確認したい15項目
ここまで読んでくださった方のために、実務的なチェックリストをまとめます。
雨予報の日、出店前に以下の15項目を確認してください。
装備の確認
- □ オーニング・テントが車両に積まれているか
- □ テントのペグ・ロープが揃っているか
- □ 電源コードの防水カバーがあるか
- □ お客様用の傘立てがあるか
- □ タオルを2~3枚積んでいるか
- □ 商品包装用のビニール袋を多めに積んでいるか
- □ 滑りにくい足元マットがあるか
出店場所の確認
- □ 屋根付きスペースを確保できるか、主催者・施設に確認したか
- □ 水はけの良い設置場所を選んでいるか
- □ 排水溝の位置を確認しているか
コミュニケーションの確認
- □ 出店先・主催者に出店意思を伝えているか
- □ InstagramやLINEで「雨でも営業します」と告知したか
- □ 雨の日サービスを準備しているか(必要があれば)
安全の確認
- □ 看板・のぼり・テントの固定方法は「物理的に飛ばない」状態か
- □ 強風警報・暴風警報は出ていないか
これらがすべてYESなら、自信を持って出店できます。
一つでもNOがあれば、その項目を解決してから出店判断をしてください。
まとめ ―― 雨の日に問われる、あなたの「経営者としての本質」
長い記事を読んでいただき、ありがとうございました。
最後に、この記事の要点をまとめます。
装備の話
雨天営業に必要な装備:
- オーニング・テント(必須)
- 防水電源対策
- 設置場所の慎重な選択
- お客様用の傘立て・タオル・荷物置き
- 雨の日の待ち時間対策(車でお待ちいただく、呼び出しベル等)
メニューと包装の話
- 雨の日は気温が下がり、温かいメニューが出やすい
- ビニール袋での包装は必須
- イベント中止リスクに備え、翌日も使える材料・メニュー設計を
- SNSとLINEを使った雨の日キャンペーンも有効
風と気象条件の話
雨より、風のほうが遥かに危険です。
- 看板は「絶対に飛ばない」固定を
- テントは四方向ペグで固定、強風時は撤収判断を
- 強風警報・暴風警報・台風・大雪・雷雨は休む基準
出店先・主催者とのコミュニケーション
- 危険な天候が予想される時は、前日に電話で連絡
- 「雨でも出ます」と言ったら、よほどのことがない限り出店する
- 主催者からの中止連絡には、相手の労力を理解して「次回もぜひ」と伝える
そして、最も大事なこと ―― 経営者としての姿勢
キッチンカーは自由な働き方です。だからこそ、自由に休めます。
ですが、出店先と約束を交わした日は、もう自由ではありません。
雨だから休む、気分が乗らないから休む、暇そうだから休む――こうやって休む日が積み重なると、信頼は確実に失われます
そして、一度失った信頼は、もう二度と戻ってこない。
私は20年やってきて、この事実を何度も目の当たりにしました。
雨の日こそ、差がつく
逆に、雨の日にこそ差をつけるチャンスがあります。
晴れの日は、誰でも営業しています。誰でも接客できます。誰でも商品を売れます。
雨の日に営業し、雨の中わざわざ来てくださったお客様に「ありがとうございます」と一言伝え、ちょっとした気配りができるオーナー
そういうオーナーが、3年後、5年後、10年後に生き残り、繁盛店になります。
雨の日に問われるのは、装備でも、メニューでも、出店場所でもありません。
問われているのは、あなたが経営者として、お客様と出店先と、どれだけ誠実に向き合えるか、その本質だけです。
問われているのは、あなたが経営者として、お客様と出店先と、どれだけ誠実に向き合えるか、その本質だけです。
最後に
最後に、もう一度伝えたいことを書きます。
「雨だから売れない」と思うのは、売る気がないからです。
実際にやってみると、雨の日でも意外と売れます。雨の中わざわざ来てくれるお客様は、確実にいます。
行ってみる前に諦めるオーナーと、行ってみるオーナー。
この差が、すべてです。
明日、もし雨予報だったら、ぜひ出店してみてください。きっと、新しい発見があります。
そして、雨の中来てくださったお客様には、心からの「ありがとうございます」を伝えてください。
それが、キッチンカーで長く続けていくための、すべての答えです。
この記事の執筆者
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